格安スマホは基本的に、auやドコモのSIMカードを利用しているということもあり、ある種共闘関係であるように見えたりもします。
特にソフトバンクに対するワイモバイルなどは間違いなくサブブランドとして展開されていますし、auに対するUQモバイルもソフトバンクまではないものの近いものがあります。
ただそれでも、実際のところはやはりどこまで行っても大手キャリアと格安SIM事業者は、限られたシェアを奪い合うライバル関係でもあります。
先日auショップに足を運んだ折、格安スマホの話をしたところ、auと格安スマホを比較をしていただけたのですが、その結果、auを利用し続けた方がお得である、という結論付けられました。
しかしその答えは、果たして正しいのでしょうか。
目次
au店員の説明1:通話と容量の利用が大きければそれほど料金差がない
とりあえず、特にどこの格安SIMを使おうと決めているわけではない、という話をしたところ、親切にもテレビCMで最近よく見かけるからと「楽天モバイル」を例として計算をしてくれました。
ちなみに楽天モバイルの料金プランでは、月3.1GBの通話SIMで1600円です。この時点で本来、白旗を上げるしかなさそうなものですが、担当していただいたau店員の方はなかなかの粘り腰でした。
「仮に大容量を利用されるのであれば、30GBで6150円、楽天でんわのかけ放題はさらに2380円かかりますので、合計すると8530円、ほとんどauの場合と料金は変わりません。auの場合、通話や容量を少し抑えれば、もっと安くすることもできますよ」
こう説明していただけました。
プラン自体をよく理解できず、何がなんだかよくわかっていない場合には、こう自信をもって断言されると、「あぁ、そうなのかな、それならauでそのまま継続しようかな」という気分になりそうですね。
au店員の説明2:auのクラウドデータがなくなる
特に何も反論も質問もする気はなかったので、相槌を打ちながら聞いていると、店員の方はさらに続けました。
「au利用の場合、クラウドに写真などいろんなデータを保存することができるんです。それが、auを辞めてしまうとなくなってしまうので、もったいないですよ」
もし大容量のデータをauのクラウドに預けているような場合には、確かにこの点は注意点と言えそうです。実際に他社やMVNOに移ろうと考えているのであれば、確認しておく必要があります。
基本的には、こういうこともあるため、大手キャリアが提供するクラウドサービスよりも別のクラウドサービスを利用しておいた方がキャリアに縛られないので何かと便利です。例えばDropBoxなどのことです。
ただし今回のケースでは、致命的に店員の方のせっかくの説明が何も響かなかったのは、私がauのクラウドにデータを一切預けていなかったためです。そしてその確認もなく説明が続けられてしまったわけです。
au店員の説明3:auの方がサポートがいい
さらにauのメリットの説明は続きます。
「auの場合、何よりもauショップが日本全国に展開していることが非常に大きい強みです。わからないことがあったり困ったことがあった場合にいつでもご相談に来ていただけます。
ですが、格安スマホをご利用されている場合にはそうはいきません。ショップというものがないので、基本的にご自分で全部対処していただく必要が出てきてしまいます」
この点は、auだけではなく、ドコモやソフトバンクにも言える、大手キャリアであるがゆえの最大のアドバンテージであり、大手キャリアの契約を継続する理由になりうるポイントです。
サポート体制についてはまったくその通りで、大手キャリアに格安SIM事業者が対抗するのはなかなか難しいです。
ただ、最近はそうした格安スマホ全般の弱点はよく把握されているため、MVNO自体かなり手の行き届いたサポートサービスを開始している傾向にあります。
対面窓口はまだまだ確かに少ないものの、窓口を用意しているMVNOもありますし、それが難しくても電話やWEB上で確実にサポートできる状態が整いつつあります。
以前ほど格安スマホにしたら全部自分で解決しないといけない、というわけではないことは理解しておきたいところです。
au店員の説明4:スマートバリューや保険など、トータルで利用するとお得
最後に説明が入ったのは、本来のauのサービスとは少し離れた、固定のインターネットや保険、その他auの関連サービスについてでした。最近のauは、なんでもやります。
「さらに今auご利用していただいてますので、auひかりを同時にご利用していただくことでスマートバリューが適用されてよりお得になりますし、その他にも電気や保険やローンなどまで、色々セットにしていただくとお得になる方法があります」
とりえあずそれらの説明はやんわりお断りしましたが、本気でau一本で利用していこうと考えるのであれば、この店員の方の言う通り、完全にすべてをauに集約するのが最も効率がいい方法と思われます。
ただ、保険や住宅ローンなどになってくると、さすがに自分の人生を左右する大きな契約になるので、よくよく考えた方がいいでしょう。少なくともそれらを利用開始した時点で、auから他社へは完全に移行できなくなると考えた方がいいです。
au視点での格安スマホの知識と認識
さて、ここまで説明されれば、多くの人がauにとどまるかもしれません。
というより、なんとなく格安スマホに変えるのが、面倒に感じてきているかもしれません。その上で、「料金もそんなに変わらずたくさんの特典がauにあるのなら、これはわざわざ格安スマホに変える方が面倒だな・・・」という気分になるのではないでしょうか。
ただ、ここで重要なのは、やはりauショップ店員の方から説明された話のいずれもが、あくまでau視点での話に終始していた、という点には注意する必要があります。
当然のことながら立場上そうなって仕方のないことなのですが、正しい判断を下すには、あまりに全ての説明がauに寄りすぎているのです。
料金が大して違わない、なんてことはありません。通話と容量の水準をまず、完全に同じに合わせるところから始めなければ大いにアンフェアです。
auと楽天モバイルでは、確実に楽天モバイルが安いです。mineoでもUQモバイルでも同じことです。
そしてさらに言えば、勝手に料金プランを設定されても困るわけです。
30GBもいらないしかけ放題もいらない、そんなユーザーであれば1680円で収まる楽天モバイルの料金に、auはどう頑張っても太刀打ちできません。
クラウドについての説明は、利用していればその通りですが利用していないユーザーには全くあてはまりません。
サポートについても確かにその通りなのですが、MVNOにしたら完全にすべてを自分で実施しなければならないということはありません。当然のことながらWEBなり電話なり遠隔操作なり、サポートは必ずあります。
そしてインターネットや保険や電気などについても同じことですね。auをずっと使っていきたいというユーザーにはメリットはあります。ありますが、あくまでトータルコストを度外視した場合の話です。
格安スマホに変更した場合の料金の下がり幅に比べたら、保険や電気をセットにした場合に受けることができるメリットは微少なものでしかありません。
嘘を教えられた、ということではありません。一部間違っていた内容も、悪意があるものではないと思います。ただ、格安スマホの正確な知識は、大手キャリアショップのスタッフの皆様は、基本的に持ち合わせていないのです。
比較してもどうしても精通している自社キャリアの良さにつながっていくわけです。
つまりは大手キャリアショップで格安スマホとの料金比較をしてもらうことはナンセンスです。というより、普通はそもそも格安スマホとの比較自体してくれないと思います。
「格安スマホのことはよくわかりませんが・・・」という常套句が出てくるはずです。
もしauショップ含む大手キャリアのショップなどで、格安スマホとの比較をされた場合、基本的には話半分で聞きながら、しっかり自分で調べて行動するようにしておきたいところです。